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No.103   S-3B NF710 VS-21 U.S.NAVY Atsugi A/B by Hogan M-Series


発売予定から8ヶ月も遅れてリリースされたS-3Bバイキング。やはり気になる新モデルということで購入してみましたが、店頭で見た最初の印象は「意外と大きいなぁ…」でした。

厚木をベースとした対潜哨戒部隊、「ファイティングレッドテイルズ」の解隊記念塗装機

今回ホーガンMシリーズからリリースされた新モデルはCVW-5に所属したVS-21「ファイティングレッドテイルズ」の機体がトップバッターを飾りました。同飛行隊は神奈川県厚木基地を空母寄港時のホームベースとしており、日本のファンにとっては馴染みの深い飛行隊でした。同飛行隊は任務の終了とともに米国に戻って解隊されたわけですが、日本を去る際に施された記念塗装が再現されています。

S-3B「ヴァイキング」のカテゴリーは対潜哨戒機です。洋上を飛行する哨戒機としてはP-3C「オライオン」が有名ですが、このS-3Bは艦載機として空母から離発着できることが大きな特徴といえるでしょう。洋上を移動する空母艦隊において、空母から離陸できる当機は陸上基地を必要とするP-3Cにはないメリットがあると思うのですが、対潜哨戒任務はP-3Cに委ねることとなりS-3Bは退役を迫られる形となりました。

ヴァイキングは当初の発売予定では2010年1月頃となっていましたが、実際は2010年9月初旬の発売と大きく遅延しました。ダイキャストモデルの世界では発売予定日はあってないようなものなので鵜呑みにはできませんが、それにしても待たされました。メーカーのホームページもない状況なので欲しい商品は粘り強くショップの入荷情報をチェックするしかありません。

HoganのMシリーズに関しては、国際貿易さんが企画の知恵を提供しているのかわかりませんが、日本のコレクターを意識しているところがあるように思います。といいますのも、厚木基地をベースとするCVW-5の所属機が新金型のトップバッターを飾ることが多いからです。EA-6Bしかり、これからリリースされるF/A-18Cもそうです。また米海軍機を中心としたラインナップの強さが特徴ですが、現役機としては残るはE-2Cホークアイのリリースを待つのみです。(退役機としてはA-6Eイントルーダーも視野に入りそうですが)。ホークアイについてはガリバーさんも開発を予定したいたようですが、どちらが先に商品化できるのか楽しみです。

S-3Bのコックピットレイアウトは並列型の4人乗りです。写真ではうまく撮影できていませんが、きちんと前列席は再現されており、ホーガンの自社新金型に対する熱い思いが今回も伝わってきました。車輪については簡素化されている印象を持ちましたが、ゴム部分とホイール部分が別パーツになっているようです。黒で成型されたタイヤのゴム部分のパーツをはめる構造にすることで、塗装作業を行なわずに済むことを狙ったのでしょう。また塗装のはみ出しもなくなるので、もう少し造形の作りこみが進めば一石二鳥になるグッドアイデアだと思います。

このところ機体の左右で異なる塗装を描く機体がいくつかみられます。ファンとしては機体を見る側によってふたつの異なる特別塗装が楽しめるので嬉しい限りです。ちなみに当機では右側から見ると大きく「NF」レターが描かれているシンプルなデザインで、左側には対潜魚雷によりかかるウサギ(?)のキャラクターが描かれています。

最初店頭でこのモデルは初めて見た時、「でかっ」と感じました。厚木では実機も見てはいたのですが、その丸っこいフォルムと、やさしいエンジン音のせいか、それほど大きな機体だという認識はもっていませんでした。車でいえばむしろ軽自動車のような印象をもっていたのかもしれません。しかし実際はその翼の大きさからか、スパホなんかと比べてもかなりの大きくみえます。ちなみにこれだけ大きな翼は空母艦上では邪魔になりますので、折りたたみ機構が設けられています。

ヴァイキングの本来の任務は対潜水艦の哨戒及び攻撃ですが、冷戦後は陸上基地からの離陸が必要ながらも長時間対空できるP-3Cにその任務を譲っています。本来の任務がなくなった当機はその後、空中給油や爆撃任務などに使用されていましたが、その生涯において潜水艦に攻撃をかけることはなかったそうです。

胴体下面に目をやってみます。本来の任務である対潜哨戒機らしく、ソノブイ投下用の穴が再現されています。また尾部には空母着艦時に使用するアレスティングフックも見えます。ぱっと見て感じるのは主脚の作りなのですが、かなり簡素化されているように思います。まぁあまり目立つ部分ではありませんし、単純な作りなので強度は増すように思いますが、このあたりは賛否両論あるかもしれません。

ヴァイキングが活躍していた当時に空母艦載機の構成はF-14Aトムキャット、F/A-18Cホーネット、A-6Eイントルーダー、EA-6Bプラウラー、E-2Cホークアイ、SH-60シーホークという賑やかな空母甲板でした。その中でも当機はTF-34-GE-400ターボファンエンジンを旅客機のように翼下に装備した珍しい航空機ですが、これはソノブイを投下する必要があり、胴体にキャビンスペースを設ける必要があったためです。戦闘機と比べるとエンジン音は非常に静かで、フーバー(電気掃除機の代名詞)とも呼ばれていたそうです。

S-3Bが退役した背景には、対潜哨戒任務がP-3Cにとって代わり、空中給油任務はスーパーホーネットで行われるようになったため、存在意義がなくなってしまいました。ご存知のようにその後の空母甲板はホーネットファミリーで溢れかえる状況になっています。今後はEA-6BプラウラーもF/A-18Gグラウラーにリプレースされることになりますが、これだけホーネットに頼り切ってしまうと運用効率はよくなるものの、万が一のトラブルなどでホーネット全機に飛行停止措置が出された時に身動きがとれなくなってしまうことでしょう。

実機



 

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