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今回初めての購入となったAviation200シリーズのミリタリー機です。最初「失敗したかなぁ･･･」ともへこみましたが、最終的にはだいぶ気持ちを持ち直すことができました。
Aviation200シリーズからKC-10A「エクステンダー」が発売されました。私自身、このブランドを買うのは初めてで、事前情報では塗装予定図のみが公開されていただけなので少し迷いました。値段も結構高いので「賭け」ではありましたが、レビュー活動を楽しんでいる以上は避けては通れないだろう･･･と自分に言い聞かせ買ってみました。箱を開けた瞬間の最初の印象は「なんか色が明るすぎて変だ！失敗したぁ･･･」という思いが脳裏をよぎりました。といいますのも完成予想図の色のイメージから、（最下段の実機写真の左上にあるような）暗い色の機体だと思っていたからです。若干落ち込んだ気持ちで家に帰り、撮影した実機写真を整理していると全身グレーの同機の写真が出てきました。「あぁ、このモデルを再現したのかぁ･･･」とその時になってやっと気づきました。それにしては光沢がありすぎる点が難ですが、だいぶ落ち着きを取り戻すことができました。
1/200スケールのダイキャストモデルで空中給油機をリリースしたのは同社が初めてだと思いますが、このロービジ機の他にも白が基調のハイビジ機も発売されています。ご存知の通り空中給油機は飛行中の作戦機に対し、給油を行うための航空機で「空飛ぶガソリンスタンド」とも呼ばれています。民間ではまず使用しませんが、軍用機の世界においては欠かせない存在となっています。戦闘機のような小型かつハイパワーなエンジンを装備する低燃費機体では航続距離は決して長くありません。戦闘機が通常の給油を行うためには地上に着陸する必要がありますし、帰りの燃料の心配もしなくてはなりません。しかし空中給油機があればパイロットさえ平気であればずっと飛び続けることも可能となります。米空軍のアクロバットチーム「サンダーバーズ」が海外遠征する際には空中給油機の支援を受けて数時間で自ら飛行してくるのに対し、空中受油機能をもたない空自ブルーインパルスのT-4は機体を分解して船に積み、数日かけてアメリカまで運んで遠征を果たしました。機動力の違いを如実に語るエピソードです。
空中給油機といえども自機が給油を受けることが可能で、受油口は機首上部に設けられています。空中給油機同士の給油は面白いでしょうね。このKC-10という機体はKC-135Rの後継機として採用された機体で、エアライナーのDC-10をベースに改造されたものです。空中給油機というだけあって胴体内は燃料で満タンなのでは？と思う方もいると思いますが、基本的には通常の燃料タンクの他、貨物室の一部を燃料タンクに改造している程度だそうです。確かに胴体にも燃料満載だったら危ないですよね。空中給油機といっても給油任務がない時は輸送機として利用できるそうで、同機は輸送機としても優秀のようです。機体のサイズはC-17Aグローブマスター�靴箸曚榮韻犬�らいです。ただモデルを持った時にKC-10はサイズの割にかなり軽く感じましたので、材質が違うのかもしれません。
今ではその必要性も薄くなり、ほとんど見られなくなってきた3発ジェットですが、垂直尾翼の下に設けられたエンジン構成による独特のシルエットに惚れるファンの人も多いようですね。そんな私も羽田、成田で飛行機を眺めている時に、3発機を見るとなんとなく得をしたような気になります。モデルの話に戻しますが、既にエアライナーモデルで造り慣れているようで、前から覗けばファンも再現されていますし、エンジンの表現はとてもよく出来ていると思います。
私はミリタリー系の機体を集めており、ついリアリティを求めてロービジ機の方を選んでしまいましたが、このモデルに関してはハイビジ機の方が付加価値が高いかもしれません。きっとエアラインモデルとしてであれば満足のいくモデルなんだろうと思いますが、軍用機としてみた場合に妙に光沢があり、悪い言い方をするとせっかくのダイキャストモデルがおもちゃに見えてしまいます…・。これは同社が今まで華やかなエアライン系を中心にしてきた「癖」のせいかなぁと推測しているのですが、私としてはGemini200のC-17Aのような艶消しでザラッとした塗装の方が好みです。モールド、ステンシル類の表記は最低限のアメリカンスタイルです。
さて、ひとつ納得のいかない点があるのです。といいますのは、このAviation200というブランドの正体がよくわからないのです。箱には[www.aviation200.com]と書いてあるのでアクセスしてみたものの、該当するサイトはありませんでした。うーん、世界はなんて緩いんだろう…それとも日本人の僕が細かすぎるのかな･･･と少し頭を悩ませました。パッケージの構成からInflight200シリーズの流れを汲んでると思うのですが、ご存知の方いらっしゃいましたら是非教えてください。
空中給油の方式にはアメリカ空軍が採用しているフライングブーム式とアメリカ海軍が採用しているプローブアンドドローグ方式があります。KC-10Aはそのどちらにも対応できるそうですが、ここでも両軍の張り合う構造が垣間見えますね。空軍の方式は2機が定位置について飛行を行い、受油側は口を開けて待っているだけで、給油側がブームを操縦して固定、給油が終わるまで同速度で定位置をキープしながら飛行を続ける方式です。途中でキャンセルしづらいのが難点ですね。一方の海軍式は給油側がロープを垂らして飛行し、受油側が給油口を合わせるスタイルで、回転翼をもつヘリコプターに対しても空中給油が行えるというメリットがあります。ちなみに空軍式を採用した空自KC-767ですが、F-Xにスパホが採用されると海軍式の給油方法もできるように改修する必要が出てきます。
空中給油機ならではの装備として、機体下面にアプローチ用のシグナルライトが装備されています。これは給油を受ける機体に最適な位置を示すための装置で、プレステ版エアロダンシングをお持ちの方であればご存知の機能だと思います。モデルに目を配ると機体下面にはAviation200のロゴが書いてあります。確かに普段は見えない場所ですが、ミリタリー系の1/200モデルでは最近みられませんし、実際ない方がいいです。本モデルは残念ながら飛行展示用スタンドには非対応です。ギヤの作りは金属製でしっかりしていて、タイヤは回転させることができます。
本モデルの目玉ともいえるフライングブームは樹脂製です。パッケージを開けた時には別の袋に入っており、本体の穴に自分で差し込む形がとられています。箱にしまう時ですが、パーツは外さなくても大丈夫なようになっているので移動がなければそのままいけそうです。せっかく別パーツになっているわけですから、差し替えでブームを伸ばしているパーツも付けてくれればよかったのに…と思いますが、ついてくるパーツは一つだけです。もっともギアが出ている状態でブームを伸ばすことはないと言われれば確かにそうですけど…
塗装のテカリが気になってしまってちょっと残念なモデルでしたが、お店に展示されているエアラインモデルのDC-10はついつい見入ってしまうような美しいモデルでした。今回の教訓はエアライン系モデルメーカーの軍用機はちょっと注意が必要かもしれないということです。同社は次にAWACSの発売を予定しており、とても注目しているのですがそちらは暫く様子を見たいと思います。
写真の撮り方やディスプレイによって正確な色をお伝えすることはできませんが、パッケージとモデルの色のギャップはわかると思います。おそらく今回は初のロービジ機にチャレンジしたのだと思いますが、カラーマネジメントがいまひとつと言わざるをえません。きちんとしたカラーコーディネーターの社員を採用した方がいいのではないかとも思いましたが、それは言いすぎでしょうか。また艶・光沢もありすぎで軍用機モデルの表現としては私の好みではありませんでした。1万5千円クラスの高級品ですので満足のいくものを買いたいですよね。メーカーには是非とも塗装図でなく完成品の写真を公開して欲しいと切に願います。
No.137 KC-10A 84-0186 305AMW U.S.A.F McGUIRE A/B
by Aviation200 
